離婚税理士

日本の離婚率は、約35%だとか。

厚生労働省の統計によると、離婚件数約20万件。婚姻件数約60万件。単純に総数で割算すると、約1/3の夫婦が離婚を経験するようです。あくまで総数の単純計算だし、それぞれ事情もあるんでしょうけど、少ない数字ではないですよね。

今回離婚をテーマにあげたのは、当事務所の提携弁護士さんからの相談がきっかけでした。離婚に際しての建物の取り扱いについてです。

財産分与は非課税

この言葉だけが先行しています。もう少し言葉を掘り下げてみましょう。   

1 財産分与とは

財産分与にはいくつか定義があります。

①慰謝料的なもの

慰謝料という名前のとおり、相手方を傷つけたことを償うために財産を分与することです。

②扶養的なもの

離婚することによって片方が経済的に困ってしまう場合に手当てする財産分与です。

③清算的なもの

婚姻期間中に夫婦が協力して築いてきたものを分けることです。夫婦が築いてきたんだから公平に半分にして婚姻関係と財産関係を清算します。金額でわかるものなら、簡単に割り算できますけどね…現金とか。

2 課税関係は

財産分与で問題になるのは清算的財産分与です。特に夫婦で購入する土地や建物。     

①財産をもらったほう

離婚に際し(離婚前の財産の引き渡しは贈与税の対象ですよ?)財産をもらったほうは、清算的財産分与の割合が概ね1/2であれば、贈与税は非課税となります。清算的な財産分与の額が8対2のときは、半分を超えた部分に対して贈与として取り扱われます。慰謝料的なものや扶養的なものはそもそも課税対象ではありません。

清算的財産分与でもらった土地建物を売却(譲渡したとき)は、譲渡課税の対象ですので、もらった時の価格(時価)を記録しておくことは忘れずに行ってくださいね。離婚時はバタバタしますが、不動産屋さんに大体どれくらいかの見積をもらう必要があります。

②財産をあげたほう

土地建物をあげたときには原則的に所得税(譲渡)の対象となります。

土地建物を分与したときには、分与したときの時価が譲渡所得の収入金額になります。固定資産評価額ではなく時価です。①のときと同様に、不動産屋さんの見積金額です。可能なら数件の不動産屋さんからとったほうが良いと思います。

ⅰ 譲渡所得の計算

譲渡所得は、収入金額から必要経費をマイナスしてさらに特別控除をマイナスして所得を計算します。

収入金額=時価

経費=登記代・不動産屋さんの手数料等

特別控除(マイホームを売ったときの特例)=3,000万円          

ⅱ マイホームを売った時の特例                     https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm     

…注意点は以下のとおり…

夫が3年以上前から別居してるとき】 自分が居住している(財産をあげるほうを仮に夫とすると夫が住んでいる建物、 もしくは自分(夫)が住まなくなった日から3年以内の譲渡であること。

【離婚前の名義変更でないこと】買い手と売り手が夫婦でないこと。そう、夫婦間の取引ではこの特別控除が使えないんです。あくまで離婚後の譲渡でないと利用できないということです。                 

【当初申告要件】この特別控除は確定申告をすることによって享受できる特例です。

いかがでしたか?

結婚式のときに教会でコリント人への手紙を紹介された方も多いと思います。「神の結び賜うたもの、人これを離すべからず」それでもなお、離婚という決断をするに至った経緯はご本人様たちしかわからないと思います。離婚はケースバイケースですので、専門家を通したほうが話が早いこともおおいので、もしものときにはご相談ください。弁護士と綿引智美税理士で連携いたします。